美藤圭「とある旅の余韻」が終了しました
今年3月に銀座蔦屋書店で開催された美藤圭の展覧会「とある旅の余韻」では、作家のトレードマークともいうべき人気シリーズである「people of peace」と「HITOKOMA -ヒトコマ-」の新作を紹介いたしました。
美藤 圭
「 とある旅の余韻 」
3月22日(土)〜4月11日(金)
会場:銀座 蔦屋書店 スターバックス前 ( GINZA SIX 6F )
主催:銀座 蔦屋書店
「people of peace」は、皆さんがさっき街角のどこかですれ違ったかもしれない誰か。
思い思いの服を着てお気に入りのスニーカーを履いた、自分らしくこだわったファッションに身を包んだ人物像。頭部には、カラフルで幾何学的な立体を載せています。
彩色されていない直方体の木材の台座に立つ、高さ30センチほどの木彫刻作品は、観る人にその存在感を放ち、強く惹きつけます。
顔は見えないけれど、自分が知っている誰かによく似ている。
そうそう、こんな風な立ち姿、仕草も物言いも頭に浮かんでくる。
「people of peace」のどれか1体と向き合っても、群像の中に身を置いても、観る人と作品とのとても親密なコミュニケーションを体験できるのではないでしょうか?
「HITOKOMA -ヒトコマ-」は、美藤圭の日常を伝える絵日記です。
立体彫刻作品の制作中に切り落とされた木片を活かして彫刻刀で丹念に彫り込み、アクリル絵の具で着彩し、作品のサイドには、その出来事があった日(年・月・日)を彫り入れて完成します。この作品は木製のフレームも作者自らが組んで仕上げています。
また作品中には、マグカップやコーヒーポット、テーブル、椅子といったモチーフが頻繁に登場しますが、これらはいつも作者の身近にあるもので、観る人と作家の日常を共有できるアイテムにもなっています。
そして「HITOKOMA」の中にいつも存在する小さな白い雲は、美藤のインスピレーションや想念です。妄想やワクワクする何か。時には不安な思いもあるかも知れません。
作者はこの作品を「 Drifting of thought 」とも名付けています。
日々の出来事を切り取り、小さな10センチ×20センチほどの木片に彫り描いた「HITOKOMA」は、平面に近く二次元な作品ではありますが、その中には時間の流れとともに、確かにそこにあった作者の1日を感じることができる立体的な彫刻でもあります。
会場で作品と向かい合って、一緒に過ごす心地良い時間と空間を見つけていただければと思います。
[アーティストステートメント]
自分は確かにここにいた、という事を残したい。
時代に対しての帰属意識が強くある。
時間に対する痕跡を残しつづけている。
何処かで出会った人々と日常、それぞれには鮮やかな印象があり、対峙し、彫り起こし、刻み込むことで取り留めもないことが実は重要であることが浮き彫りになる。
SNSで日々記録される日常の起伏はデバイスに依存する。
生身の人や日常はもっとカラフルである。
美藤 圭
[アーティストプロフィール]
美藤 圭 Kei Bito (木彫刻家)
1986年 兵庫県生まれ
18歳の時に「ものづくりで飯を食いたい」と思い、飛騨高山へ
飛騨国際工芸学園で家具のデザイン、制作を学ぶ
10年ほど家具職人として勤める傍ら独学で木彫を始める
2015年より本格的に彫刻家として活動
2016年〜現在 東京のGalerie NUAGE(ギャルリ ニュアージュ)にて毎年個展を開催
2022年 豊岡若手作家展(豊岡市立美術館/兵庫県)
2023年〜 毎年アートフェア「One Art Taipei」にGalerie NUAGEより参加
2024年 「子午線上のアートII」展(西脇市岡之山美術館/兵庫県)
現在は個展・企画展・アートフェア等、国内外にて作品を発表
美藤圭「people of peace」のウェブサイトはこちら